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就業規則は、使用者の権限で一方的に作成、又は変更ができます。
ただし、その際に問題となってくるのは、労働者にとって現在規定されている労働条件よりも不利益を及ぼし、労働条件が低下してしまう「不利益変更」の場合その効力は従業員個々に及ぶのかどうかであります。
従業員の個々の同意を得ることができれば問題なく有効となってきますが、その同意なくして一方的に変更した場合には労働訴訟にまで発展する可能性があり、大変危険です。
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従来の完全月給制から遅刻欠勤等をカットする制度に変更する改訂は、それ以前に雇用されていた従業員らに関する限り、実質的な効力を及ぼさない」
(東京地判昭和46.9.13)
「使用者は、就業規則を一方的に変更することによって、労働条件のうち労使の利害が真っ向から対立する賃金額の低下を生ずる賃金計算方法を変更することはできない」
(東京地判昭和50.10.28)
原則、就業規則の不利益変更は労働者全てが同意した場合は特に問題はありませんが、そうでなければ変更ができない可能性が生じてきます。
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では、不利益変更が全くできないのかというとそういうわけでもありません。
確かに原則不可能ではありますが、会社によっては5年、10年もしくはそれ以上も前に就業規則を作成しそのまま見直しを一切していないということもあります。そうなりますと、当然現在の経済情勢にあっておらず、現在に適した就業規則を作成する必要がでてきます。
このような場合にも全く不利益変更は認められないことなりますと今度は会社側の経営に問題が出てしまいます。
よってそれは適当ではないとし、条件を付けた上で不利益変更ができるようになります。
「就業規則の作成又は変更によって既存の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として許されないと解すべきであるが、労働条件の集合的処理、特にその統一的且つ、画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって当該規則条項が合理的なものである限り、ここの労働者においてこれに同意しないことを理由として、その適用を拒否することは許されないと解すべきである。これに対する不服は団体交渉の正当な手続による改善にまつほかない」
(最高大43.12・25 秋北バス事件)
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原則、不利益変更は不可ですが、その場合でも変更が合理的なものならば、たとえそれに同意しない従業員がいてもその者にも効力が及んできます。
「新たな就業規則の作成または変更によって労働者の既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として許されないが、労働条件の集合的処理、特にその統一的且つ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されない。そして右にいう当該規則条項が合理的なものであるとは、当該就業規則の作成又は変更が、その必要性及び内容の両面からみて、それによって労働者が被ることになる不利益の程度を考慮しても、なお当該労使関係における当該条項の法的規範性を是認することができるだけの合理性を有するものであることをいい、特に、賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者を労働者に法的に受忍させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずるものというべきである。
この合理性の有無は、具体的には、就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、使用者側の変更の必要性の内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の労働条件改善条件の改善状況、労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合的判断すべきである。以上は、当裁判所の判例の趣旨とするところである」
最高裁第二小法廷の判決 (平成9.2.28 第四銀行事件)
社会経済情勢も変化し、会社を取り巻く環境も年々変わってきております。就業規則の変更も余儀なく行わなければいけない場面も生じてきますが、「合理性の有無」が特に重要な判断材料となってきますので注意しましょう。
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就業規則の不利益変更が認められるためにはその変更が合理的と判断されなければ
なりません。合理的と判断されるためには以下を満たす必要があります。
@改訂変更の理由の合理性
A変更手続き上の合理性
B変更内容の合理性(不利益の内容・程度)
C適用上の合理性
D不利益の緩和・代替措置の状況
E社会的相当性
これらを総合的に判断し合理的であれば、たとえ変更に同意しない労働者であってもその効力は及ぶこととなります。
従業員は、その従業規則の存在や内容を現実に知っていたか否に関わらず、また、これに対して個々の労働者が同意をしたかどうかを問わず、当然にその適用を受ける。
(最高大昭和43.12.25、最高一小昭和61.3.13)
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